屁理屈がいえないと英語は話せない


 
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屁理屈がいえないと英語は話せない

日本人がディベートに弱い原因の1つがこの「屁理屈」という言葉へのnegativity=否定的感覚にあります。日本人同士が議論をしているところをじっくり観察すると「それは屁理屈だ!」という言葉がひんぱんに登場し、この発言で会話が終了する場面によく出くわします。「屁理屈!」でディベート終了。そこから先へは進まないのです。

つまり、日本人は学問の要である「屁理屈」を伝統的に捨て去って来たのです。これはイタリア料理が本格上陸するまで船体に付着していたムール貝(=烏貝)を捨てていた事以上にもったいない話であります。

じつはこの伝統こそが、日本人を英会話習得において苦しめ、その国際化を阻み、グローバリゼーション(globalization=国際化、地球化)の実現を遅らせている原因、「憲法17条の呪縛」そのものなのです。

西暦593年、推古・聖徳・蘇我の三頭政治が大和朝廷に確立。天才児・聖徳太子によって、仏教・儒教・神道・道教、場合によってはネストリウス派のキリスト教=景教思想までもブレンドされた習合思想を土台に西暦604年、日本ではじめての成文法、憲法17条がプロデュース&施行されました。

その第一条に謳われている「一に曰く、和を持って貴しとし、さからう事なきを宗とせよ。」という「和の精神」は役人、貴族のモラルスタンダード(moral standard=道徳律)としてはじめの内は存在していたのですが、「学問や文化の天下り現象」が起き、次第に思想は民衆のなかに溶け込み、言い争いを好まない日本人の伝統文化として確立されていったようなのです。

少なくとも憲法17条という文献証拠=実証性がある限りにおいて、現時点ではこれがもっとも妥当な推理でありましょう。

日本人が「オマエ理屈ッポイよ!」と相手を蔑むとき、「そんなの屁理屈だ!」と罵るとき、その根底には「和の精神の支配」があり、欧米流の「実証と詭弁」によって構築された文明と対峙した瞬間、日本的メンタリティ(mentality=精神構造)はそこに不快感を覚えるのです。

確かに欧米でも、過剰に「理屈ッポイ」ことは、どちらかと言えば奇異なことでありまして、ヨーロッパ人のなかでもとりわけ理詰めで物事を考えるドイツ人などは、ギャグにされることが多いと思います。

たとえば、第二次世界大戦中に敵国アメリカの研究をしているドイツ兵たちはポパイを研究して、そのギャグの「どこが、なにゆえ、面白いか」について講義していたなどの笑い話は、真実の程はともかく、よく耳にしたことがあります。

こうしたドイツ的なキャラがデフォルメされると例えば、Star TrekにおけるMr. SpockやNext GenerationにおけるDataデータのような物事を理詰めでしか考えることのできないキャラにおとし込まれていき、他の乗組員達が持つ人間味や人情でバランスを取りながら宇宙船物語が進行するギミック(gimmick仕組み)になったりするわけです。

しかし、同時に見逃してはいけないのは、近世に発展を遂げた哲学・科学・発明の多くはドイツ人およびドイツ的なるもの、あるいはドイツ語の持つ特性(=論理性)抜き語れないという事実でありまして、「理屈っぽい」ことが学問を発展させる一大要素になっていたことは、もちろん否定できないのです。

同じゲルマン系言語である英語はその内にフランス語(ラテン系)をたくさん取り込みながらもarguing language=「議論に適した言語」と言われ、会話の構成は常に問答形式、感情の抑揚も日本語に比べるとじつに激しいものです。

それゆえ、アメリカンホームドラマやハーレークイーン・ロマンスを日本語にそのまま直すと和の精神を標榜する日本人としては、とてもとても違和感を覚えてしまうのであります。

じつはこの違和感、照れ臭さこそが、日本人の英会話上達をはばんでいる正体でしょう。

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