【ファイト】 |
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【ファイト】 |
「スポーツ界トンデモ英語大賞」があるなら、グランプリ獲得は間違いなく「ファイト」fightでは。 ボクはこのトンデモ英語汚染の原因を、次の3つにあると考えています。 1. 文部科学省プロデュース英語教育の弊害 2. 学校教育における部活(クラブ)の根性一辺倒および、先輩・後輩関係重視 3. スポーツ・アナ、評論家、記者の無知 |
以上の3つを兼ね備えれば、例えば「ここはまずドンマイで行きまして、次にガッツで乗り切るべきでしょうね。なんと申しましてもファイトがいちばん。ナイス・プレーを期待したいものであります」と言うコメントができるのであります。 ともかく、日本中のスポーツの試合で巻き起こる「ファイト、ファイト」の大合唱には、思わず耳をふさぎたくなります。これをまともな英語市民が聞けば、「ここはローマ時代のコロシアムか」と思うでありましょう。ファイトfightという語は、「戦う、争う」という意味が基本ですから、戦士に向かって「やっちまえ! やれ!」とけしかけているとしか思えないからです。コロシアムで戦士たちgraduatorsに向かい、金を握りしめた市民citizenは"Go fighting!"と叫び、彼らが猛獣と戦うのを楽しんだのです。 おそらく、ファイトは英和辞典で「闘志」(名詞)などとあるので、「気迫をこめてほしい」という感じで使われたのでしょう。ファイティング・スピリッツfighting spiritが「闘魂」と訳されるのもうなずけるものがあります。 しかし、その「闘魂」を持つべきは1人1人の戦士ですから、サッカーやバレーボールなどのチームでするgameに「ファイト!」は似合わないのです。また、「ファイト!一発」のCMも、ビジネス戦士を応援するという意味でなら、まあ許せる範囲でしょう。 そんなわけで、「ファイト」は、本書においては極刑を宣告しておきます。
・日常生活のトンデモ英語 |
ケビンのトンデモ英語デリート辞典 |
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