ヨーロッパ言語と対比してみれば
ヨーロッパ言語と対比してみれば
日本語はまさしくこの外来語の集合体です。長い年月をかけて、体系化された外来語の集大成。
その炉心部reactor
coreには言霊プログラムがあり、そこからはつねに求心力centripetal
forceが働いています。
これに対し、ヨーロッパ言語は大雑把にいうとこの正反対なんです。
バイリンガルやトライリンガルがウジャウジャいるヨーロッパ諸国はその昔ローマという1つの大きな帝国the
Roman Empireでした。
だからこそ、いまでもローマ字を使うわけですね。
ローマ語=ラテン語はローマ帝国の分解とともにバラバラに広がっていきます。ローマ帝国から独立した各国が1国家として、主権を主張するがごとく、ローマ語から独立した言語たちも独立言語としての主権を主張していきます。
すなわちヨーロッパ人は互いに隣国の言葉を独立言語として尊重し、吸収ではなく、学習していくわけなんです。
名づけて「ローマとの決別」プログラム! ここに一種の遠心力が働いてきます。
キリスト教とローマ字という2重の縛りがありながら多様化していったヨーロッパ言語にはこんなトリックがあったんです。
せっかくですから、もう少し歴史を遡(さかのぼ)ってみましょう。
ローマ字の歴史。原材料となったのはエジプトの象形文字です。
エジプト文字を簡略化した子音中心の表記をカナーン人がつくり出し、フェニキア人がこれを継承し、母音を取り入れたギリシャ文字となります。音声学phonetics
や表音文字phonogramなどの言葉はPhoenicianフェニキア人に由来するようですね。
ギリシャ(都市国家群)繁栄ののち、ギリシャ語はエトルリア人を介して都市国家ローマへともたらされます。ギリシャ文字を参考につくったラテン表記、これがアルファベットすなわちローマ字がとなるわけです。
やがて、ローマはヨーロッパ全土を覆いつくす巨大帝国へと成長。ローマ語=ラテン語はいまの英語のような世界共通語へと発展を遂げます。
ローマ領内および周辺ではラテン語がグローバルスタンダードになるわけです。
しかしながら、平家ならずとも盛者必衰・栄枯盛衰の原則から逃れられるわけはありません。
395年にローマは東西に分裂し、東側はギリシャ語圏(ギリシャ正教)になり、西側はゲルマン民族の浸透圧により現在のヨーロッパ諸国へと変貌していきます。
キリスト教という縛りはあるもののローマの支配から独立すること、そしてラテン語の支配から開放されることが国家にとって1人前になるということです。
諸部族の言語はローマ字という縛りの中でおのおの独立していきました。独立国たちはやがて兄弟・姉妹国と覇を競い合うようになります。かような条件下で育まれた独自性は外交や通商によってさらに磨きがかかります。
結果、ヨーロッパ人は通訳や外交という特殊技術を発展させ、日本人とは比べものにならない語学力を手にするようになるのです。
一方の日本語は豊かになればなるほど、日本人の語学下手が加速されていくわけです。
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