あなたは英語で笑えますか
あなたは英語で笑えますか?
さて、英語を話せるようになるための秘策、その2は、「英語で笑える」ことであります。
人間、喜怒哀楽のうち、喜=笑いだけは文化に差異cultural
deferenceがあります。
感動は世界共通言語といってもお笑いだけはそういきません。
「そんなことはない!チャップリンのお笑いは人類共通だ!」とおっしゃる方はいるでしょう。でも、グローバルなお笑いは原則的に言語を媒介しないものなんです。
ちなみにアフリカの1部には笑うことと泣くことが反転している種族がいるそうですが、地球の総人口からするとマイノリティ(少数派)minorityなので度外視します。
それでは質問。
志村けんさんの人気が台湾で高いのはなぜでしょう?
お答え。ミスター・ビーンとまったく同じ理由からです。言語を媒介していないからです。
日本の放送を受信できる台湾人にとって、日本語のギャグ・コントはとても親しみにくい。
なぜか?日本語がわからないからです。でも、バカ殿さまはわかりやすいんです。見ているだけで笑えます。
飛行機の国際便でミスター・ビーンがよく上映されてきたのはチャプリン同様、ことばを介さないお笑いだからなんですね。
これぞ正しくグローバルなお笑いというわけです。
「英語で笑う」について話を進める前に、「笑い」というものをもう少し掘り下げてみましょう。
有史以来、人類の挨拶スタイルにはメジャーなところで「おじぎ」と「握手」と「合掌」それに「土下座」&「キス」の5パターンがあります。
これらは、いったいどのような意味をもっているのでしょうか? じつはすべて「無抵抗」と「闘争の放棄」なんですね。
おじぎは「あなたに首を差し出します」という意味です。握手は「利き手に武器なし」。合掌は「両手に武器なし」の意志表示。アフリカ諸国や日本人が畳の上でやる土下座は無条件降伏surrender
unconditionallyです。再会のときに行われるキスはさらに親愛の情を含みます。
どれも平和や親和を意味していますよね?
で、挨拶のあと、会話が進み、さらに融和ムードが盛り上がったときに起こるのが、なにを隠そう、笑いです。
笑いは連帯感を創出し、人類に友好・親愛・信用などの関係を生みだす極めて重要なコミュニケーション・ツールです。
笑いというものが外交diplomacyや政治politicの場、商売businessや交渉negotiationの場でどれほど重要な意味を持ち、有効なものかは外交官やビジネスマンならずとも、はたまた別れ話をしている恋人同士coupleにあらずとも自明の理ですよね?
ところがなんです。なんとも意外なことに、この笑いという現象、現在のところまで十分な解明はされておりません。
もっとも基本的な人間の感情表現なのにもかかわらず、その本質や実体はいまだに不明。笑いの定義definitionは学問分野によってまちまちなんです。
いくつかあげてみましょう。
生物学biologyでは、動物としての攻撃性が変化したもの・社会的動物が他の個体に対して融和の表明するときの方法・あるいは戦略的メリットがあって笑わない個体を笑う個体が駆逐した(by進化論the
theory of
evolution)、つまり笑わない種族もいたかもしれないということですね。
そのほか、余剰エネルギーの調節・悲嘆、オルガズムとともに人々の日常生活に共通してみられる発作性行動(神経症学neurosis
science)・歯をむき出すので攻撃的側面をもっているものの笑うことによってもたらされる快い感覚は不安の解消、性的誘惑の表明(精神分析学psychoanalysis)・コントロールできないので異常(医学medical
science)など、まあ、無責任なほどいろいろな定義があります。
ボクは「脳内快感物質分泌への衝動」と「アノミーanomieからの開放運動」の2つを考えました。
この際だからみなさんも笑いの定義をぜひ考えてみてください。
[アノミーanomieとは、人の行動を秩序づける共通の価値や道徳が失われた、無規範と混乱が支配する社会の状態を言う]
さあ、笑いはコミュニケーションツールとして重要だということをご理解いただいたところで、今度は英語学習にいかに笑いが必要不可欠かを追ってみましょう。
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